STORY.①

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    黒のセダンはある邸の門の前に停まった     直ぐに門番が出てくると車に近付き、運転席の窓を覗くと車の主は軽く会釈をし窓を開ける     「御用件をお伺いしても宜しいでしょうか」     車の主は門番の問いに一枚の紙を見せた     「本日からこちらに配属されました 須藤 要と申します」     にっこりと笑う それは俗に言う営業スマイル     門番がその紙を確認すると慌ててお辞儀をしてきた     「大変失礼を致しました 旦那様からお話は伺っております 只今門をお開け致しますのでお待ち下さい」     そう言うと門の近くに待機していたもう1人の門番に合図を出す     それから直ぐに門は開かれ要は 「ありがとうございます」 と会釈すると窓を閉め、車を敷地内に進める     「しかし── すっっげぇ広いなぁ…」     ゆっくり車を奥へと進めながら周りを見渡す     周りには綺麗に手入れが行き届いている植木 その廻りには天然の芝生に所々に花も咲き誇っていた      「池が有る────」     ゙──のかよ゙と口にしようとした時目の前に現れたのがなんと────     「マジ…?! 噴水って─── 金持ちには当たり前なのかよ…」     そうそこには丸い噴水で真ん中には天使のオブジェがある     その天使のオブジェがなんとも邸とマッチしており、要は言葉を失った     邸に圧倒されながらも邸の玄関前に車を取り敢えず停めると車から降りた     すると直ぐ様邸の玄関が開かれ2人の男が出てくる     燕尾服を着た(たぶん)30代ぐらいの男性と要とあまり年齢がかわらない男性が要の前にくると優雅に腰を折り挨拶をする     30代ぐらいの男性が一歩前に出ると深くお辞儀をしてきた     「ようこそ神取邸へ 私はこの邸の執事長を務めさせて頂いております 長岡と申します」     「本日からこちらに配属されました 須藤です 至らないところもありますが宜しくお願いいたします」     要も深々と頭をさげる     「おしい───90点ですね」      「(え?)」     要は何を言われたのか解らず直ぐ様顔をあげる      
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