STORY.①

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    「まだ学校を出たばかりと伺っておりますが」     「はい そうです…」     要は長岡の質問に答える そして次の長岡の言葉を待った     ボソ 「───まだ伸びますね」     長岡が小声で発した言葉は要には聞こえていないのか、長岡はそのまま言葉を続ける     「この邸の前に仕えた所はありますか?」     「…… (なんで入り口でこんな質問されなきゃならないんだよ)」     そう思うも素直に答える要      「在学期間中だけではありましたが」     「左様ですか とりあえず車はこちらで動かさせて頂きますので、鍵を宜しいでしょうか」     長岡の申し出にまたも素直に車の鍵を渡す     長岡は鍵を受け取ると長岡の後ろに居た若い執事に渡した     「こちらは相楽 拓海です 拓海、須藤さんの車を裏手に停めてきてください」     「はい」     拓海は長岡に自己紹介をされると要にお辞儀をし、長岡から鍵を受け取り車に乗り込むと邸の裏へと車を走らせて行ってしまった     「旦那様がお待ちです ご案内致しますのでこちらへどうぞ」     そう言うと長岡はまた優雅に玄関の扉を開ける     「…… (俺にはまだこんな優雅にこなすことは出来ない   これが経験の差か──…)」      要は長岡に頭をさげると邸の中に足を踏み入れた     すると両サイドにはメイドが綺麗に並んで立っていた      長岡が玄関を閉めるとそれが合図のように一斉に頭を下げる     「「「ようこそお越しくださいました」」」     誰1人としてずれていない挨拶に声を出すタイミング  正直凄いと思った要である      要は自分の半歩後ろに居る長岡に目線を送る     すると長岡は一歩前に出ると手を二回叩いた     またそれが合図なのか一斉に顔があがる     「こちらは今日から皆さんの家族となる須藤 要さんです 優しくしてあげてください」     長岡に紹介され深々と頭を下げる     「宜しくお願いいたします」      要が軽く挨拶すると長岡は歩き出し声をあげる     「また改めて自己紹介をする場を設けますので今は各自持ち場に戻りなさい」     するとまた一斉に頭を下げ一斉に散っていった     「(すげぇ… まさに鶴の一声)」     要は長岡から目が離せなくなっていた    
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