STORY.①

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    「失礼致します 須藤 要さんをお連れしました」     部屋に入ると更に深くお辞儀をし、要を部屋に招き入れる     部屋の中はピアノを始め色んな楽器が置かれており、楽譜が至るところに散乱している 壁に備え付けてある棚には楽譜が入っているのだろう    ファイルだけではなく分厚い楽譜本がたくさん敷き詰められていた     長岡の言葉にあわせて要も頭を下げる     「須藤 要です お声を掛けていただきありがとうございます   精一杯務めさせていただきます」     要が顔をあげるとにこやかに微笑んでいる目の前の男性     見た目はとても若く見える  髪の毛は黒の短髮よりやや長めで目は切れ長 顎には綺麗に整えられた髭    イケメンと言うよりダンディーと言う言葉が似合っていた     「やあ 君が要君だね 僕は神取 翼だ 君の噂は聞いていたんだ 会いたくて待ち遠しかったんだよ   本当は玄関まで迎えに行こうかと思ったんだけど拓真に止められてね」     握手を求められて握手をするとそれと同時に肩をパシパシ叩かれる     自分の言いたいことを一気に話し、まだ話し足りないのかまた口を開き始めるのを要が止めた     「あの… ゙拓真゙って誰ですか?」      その言葉に翼は瞳をパチパチさせ、アハハと声をあげて笑い出す     翼のその姿に要は眉をひそめる     「んん! 旦那様」     長岡の言葉に翼は笑いを堪えて長岡を指差したあと長岡の肩をトントンと叩いた     「゙拓真゙はこれ 長岡 拓真 紹介してないの?!」     翼はそう言うと長岡の方を見る     長岡は短く溜め息を吐くと  「自己紹介はしましたよ 名字だけ」     長岡の言葉に翼は要を見る      翼と目が合うと要は頷いた      それを見て翼は長岡に人差し指を指して、自分の腰に手を当て 「拓真~ 何回も言ってるだろ?! お前は固い!!」     すると長岡は翼の人差し指に軽くチョップをした     「痛い 何するんだよ」     「人を指で差すのよろしくない いつも言ってるだろ いつになったら覚え───!!」     長岡は慌てて口を紡ぎ咳払いをする     長岡は翼のニコニコ顔をみると 「やられたぁ」 と言う顔をした後要を見るとなんとも間抜けな顔をしていた     「あれ~? 要く~ん?! 大丈夫か~い?」     翼は要の目の前で両手を振っていた      
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