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「まったく拓真は手加減と言うものがないなぁ
僕を主と言うなら手をあげるのは如何なものかと思うけど…」
「何か仰りました??」
顔は笑顔だがやっぱりブラック長岡だった
翼は子供のように頬を膨らますと不貞腐れたように返答を返した
「──それより拓真」
翼の声色が変わると要も何かを察したようで部屋の中が一気に緊張が走った
「はい
少々お待ちください」
短く返事をすると長岡は部屋をあとにした
長岡が部屋を出ると翼は要の方に向きを返え、少し難しい顔をした
そんな翼の表情に要は一瞬身構えるが翼から「ふっ」と口元を緩めると要も力を抜いた
「───さて要くんには執事の仕事と言うより世話係兼教育係を頼みたいんだ」
「世話係兼教育係──
ですか?!」
そんな翼に声が上擦ってしまった要
そんな要に「クスクス」笑うと
「そうなんだ、お願い出来るかな?」とニッコリと微笑み返されてしまった
「はぁ…
どなたのお世話と教育を──…」
そう口にしようとしたとき部屋の扉をノックする音が響いた
「おっと…
ちょうど来たね
入って──」
「失礼します」
その言葉と同時に扉が開かれると要の視線も自然と向いた
「お連れしました」
そう言う長岡の後ろにまだ幼い少女が立っていた
「ありがとう
百合奈こちらにおいで」
優しい声で微笑みながら少女の名前を呼ぶ
少女は返事をすることなく翼の元へ歩いてきた
翼の前に来ると翼は少女の目線に合わせ屈むと、両肩に手を置きまた微笑んだ
「百合奈
今日から百合奈のお世話と教育をしてくれる
須藤 要くんだよ」
そう言うのと同時に少女を正面に向かせると、翼は要を見た
「要くん
娘の百合奈だ
よろしくね」
翼から百合奈を紹介され要は一礼すると百合奈に視線を合わせるため片膝を着いた
「初めまして百合奈お嬢様
今日から貴女の世話係兼教育係の須藤 要と申します
なんでもお申し付け下さい」
ニッコリ微笑んだつもりが百合奈から返ってきた言葉が
「──そう…」
となんとも素っ気ない返事だった
「(無表情かよ
可愛くねぇガキだなぁ)」
そう心では思うが顔には出さずに引き吊った笑顔だった
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