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彼は何を読んでいるのだろう?
気になったので彼の方へ向かった。途中足元の紙を踏みカサリと意外なほど大きな音を立てた。
その音に彼は飛び上がって驚いたような顔でこちらを見た。
私はその反応に驚きショットガンに手が伸びたが彼の様子を見てようやく冷静になった。
彼は非常に疲れたような顔をしておりとても危害を加えてきそうには見えない。
彼の視線が腰に刺さった2つのショットガンに向けられている。
欲しいのだろうか。だとしたらちょうどいい。
ショットガンを1つ抜き取り彼に差し出した。
「貴方も必要だと思うけど…?同じものが2つあっても邪魔なだけだし良かったらあげるよ」
彼は驚いたような顔でショットガンを見つめて何か考えている。私の勘違いだったのだろうか。
彼はなかなかショットガンに手を伸ばさない。その時部屋の奥にある扉の向こうで何か落ちたような音がした。
うっすらと開いた隙間からあの腐敗臭が流れてきた。
どうやらお互いに考え込んでいる余裕はなさそうだ。
「とりあえずお互い無事にここから出られたらそのショットガンは貴方の物ってことでいいかな」
そう彼に確認を取ったときに扉の向こうから数体のアレが出てきた。
意外とアレはありふれたモノなのだろうか。
アレに向かってショットガンの引き金を引いた。3日続けて撃ったからか少しは狙いが定まるようになった。
アレの最後の1体が崩れ落ちる。
外に出ると押し付けたのとほとんど変わらないにも関わらず、彼がショットガンのお礼を言ってきた。
なんとなくくすぐったいような気持ちになったが悪い気はしない。
ただどのような反応を返すべきかよくわからずまた会えるといいね といった差し障りのないような事を言って彼と別れた。
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