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特に理由はないがなんとなく目の前にある小さな路地が気になる。人が1人通るのがやっとな程狭い路地だ。
しばらく悩んだが路地を通ることにした。
両側のギリギリに建物が並びここは特に暗く感じる。その分聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされて意識まで透き通るような気分だ。
何か来るとしたら前か後ろからだから注意を向ける範囲も狭くて済む。
風向きが変わり後ろからどろっとした腐敗臭がした。
べちゃ と湿った音。
振り返るとアレが数体こちらを見ている。
だいぶ扱いに慣れた気がするショットガンを、真っ直ぐに構えて引き金を引いた。数発分の破裂音と反動のあとカチンと小さな音しかしなくなった。
まさか弾切れだろうか。無駄に撃ちすぎたのかもしれない。
仕方ないのでおもいっきりショットガンを投げつけた。湿った嫌な音を立ててアレの頭にぶつかった。
ショットガンがぶつかったアレがふらりとよろけてこちらに倒れてくる。
アレの群れに背を向けて全力で走った。
路地を駆け抜け広い道にでた。転けそうになりながら左に曲がり走り続ける。
だんだん息が続かなくなってきた。
物陰に飛び込み肩で息をする。何度も空気を吸い込むが全身が酸素を求め続けているようでとても苦しい。
少しずつ呼吸が落ち着き周囲の状況を判断できるようになってきた。
いつの間にか腐敗臭はしなくなっている。なんとか撒いたようだ。
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