序章 ダイヤの輝きと共に

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「いたぞっ!捕まえろっ!!」 「こっちだ!!」 そんなことをしているうちに、今度は廊下の両側を挟まれた。 「ちょっと!どうするのよ!?」 「どうするもこうするも…………逃げるが勝ちっ!!」 腰のポーチをごそごそと漁ったかと思うと、拳大の何かを取り出し、口でピンを抜いて前方の警備員集団に投げる。 宙を舞うそれは――――手榴弾だった。 アタシと同時に気づいたのか、警備員は慌てて踵を返して逃げ出す。 だけど、 ボンッとくぐもった音と共に真っ白い煙が辺りに立ち込める。 「ただの煙幕なのにビビリ過ぎ」 クスクスと笑いながら、その子は後ろにも手榴弾型煙幕をプレゼントしてから、いきなり左腕だけでアタシの腰辺りをつかんで抱え上げた。
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