第五章 新撰組

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野崎は敵の位置を空母信濃に連絡した。 すぐに爆撃機の彗星が20機と震電10機が発艦した。 野崎はヘリから降りて伏見奉行所付近を探したが芹沢の戦死は確認出来なかった。 芹沢派は全滅したようだ。 燃え盛る伏見の町に爆音が響いた。 信濃から飛び立った攻撃編隊だ。 彗星が爆弾を投下し始めた。 爆弾の炸裂音といくつもの閃光が見えた。 敵は爆撃機に向けて射撃をしたが、まるで当たらなかった。 続けて震電が小型爆弾を投下する。 敵はばらばらな方向に逃げて行った。 やがて中村率いる薩摩藩兵千人が伏見に着いた。 辺りの民家が燃え盛っていた。 誰かがこちらに歩いて来る。 「芹沢局長」 「おっ君か、この通りの負け戦だ」 「私は薩摩藩の中村半次郎」 「そうか、敵なら逃げはせぬ」 芹沢はいきなり抜き打ちで斬って来た。 中村は咄嗟に刀を抜き受けた。 「なんと言う力だ…」 大男の怪力で押して来る。 しかし急に力が抜けたように芹沢は刀を落とした。 見れば体中に銃撃を受けているようだ。 芹沢が倒れ込むのを白拍子は支えたが、すでに息をしていなかった。
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