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「でたって……とある映画館の近くのマックですけど…」
と答える私。
「マックに忘れとったんかー!今ひとりすか?」
「…は?いや友達といます……」
「なら、大丈夫!悪いけど、2時間後くらいにまた連絡するから、その携帯預かっててくれない?ありがと!」
「は?ちょ、待っ…」
電話の向こうの、名も知らぬ彼に
私の言葉は最後まで届かず、
代わりに聞こえてきたのは
プープーという、お馴染みの機械音だ。
「メグ、なんて?」
鏡でつけまつげをチェックするという作業の手を一旦止め、
カオリが聞いてくる。
「……2時間後にまた連絡するから、携帯預かってって…」
「は?どんだけ~!」
笑いながら、また鏡を手に持ち、
つけまつげのチェックを再開するカオリ。
どんだけ~って……古いよ、きみ。
喉まで出かかった言葉を飲み込む。
「でもまぁ今から映画見るから、ちょうどいいんじゃない?」
と、私に言いながら、
「そろそろ行こー!」
と、他人事のように席を立つアユミ。
「リカ電話でらんでよかったー。」
と、ケラケラ笑うリカに、
通話ボタン押したの君だよね。
と、心の中で語りかけてみる。
…めんどくさ。
と小さくため息を吐き、
これから映画のため
自分の携帯と、黒の携帯の電源をおとす。
あ、私マナーは守るほうやねん。
私は
ふたつの携帯を自分のカバンに直した。
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