ベタは突然に。

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映画館に着いたのは、 上映開始時間ギリギリだった。  若干、小走りで走ってきたため、 とっくに体育の授業なんてなくなった 私達の息は地味に上が って いた。 「どうせ最初予告やし、走らんでも良くなかった?」 と、肩で息をしながらリカが言う。 「その予告も見たいのよ。」 と、私はウインクをしながら答えたが、 既に誰も私を見ていなかったので私のウインクは無駄となった。 席を探し、やっとこさ座り、早速ポップコーンを食べ出すカオリ。 「んもぉ~カオリったら、食べるの早いんだから!」 と、アユミが笑う。 私は、そんなやり取りに笑いながら 気休めのダイエットコーラを一口飲み、 はきなれないヒールを脱ぎ捨てた。 劇場内が暗くなり、 ふぅ~っと、ため息をついた時だった。 「やばい!暗い!見えない!」 「おまえ、うるさいよ」 「酒井くんのせいだかんね!」 「これでも急いで来たんだってば」 「瞬キス!瞬キス!」 「日原!まぢうるさいて」 ………うるさいなぁ。 三人くらいだろうか? 暗がりの中、突然聞こえだした声に イラっとしてしまう生理前の私。 「メグ、気にしちゃダメよ。ほら、始まるわよ!」 そんな私のイラ立ちに気付いたのであろう 隣に座るアユミが私に言う。 そうだよね。せっかくの映画なんだから!と思い、 「…そーだね、気にしない。ありがと!」 と、小声で話しかけたが、 アユミは既にカオリからポップコーンの 交換交渉をされているらしく、返事はなかった。
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