1人が本棚に入れています
本棚に追加
失うこわさ
私は1年前、ある夢を持っていました。
その夢は、私にはとても叶えられそうにもない大きな夢で、
それでも努力すれば、きっと叶えられると、自信がないなりにも、前向きに生きていました。
ところが、ある人に言われたひとことで、
いや、言われなかった言葉で、
私は『諦めろ』と言われたような気持ちになりました。
自信がない所に、そんな気持ちが入って来て、どんどんネガティブになっていきました。
――『頑張って』
本当に欲しかったその言葉は、誰にも言わずに、
私は結局、その夢を諦めることとなりました。
私は極端に言葉を受け取る癖があって、
きっとあの時先生は、『諦めろ』なんて言ったつもりないんだろうけど、
『あんたが人の将来を変えたんだ』って、勝手に自分の中で、責任をなすりつけたかったんだ。
夢を応援されないことで、夢を諦めさせられ、夢を失った。
その後の私は、虚無感に包まれ、目標のないまま自分の好きなように過ごしてきました。
何もかもがどうでもよくなって、勉強もしない、授業も聞かない、成績も気にしなくなり、
その前の夢はネイリストだったのだけれど、
ネイルも、趣味の絵を描くことも嫌いになった。
休日は朝から晩まで寝続けて、
学校から帰ってきても、また、すぐに布団に入る――。
そんな生活は、正直すごく楽だった。
子供でいられた。
先生、
今となっては、夢を諦めさせてくれたことに感謝しています。
あの半年間は、辛い気持ちを抱えたままでした。
そして今もまだ、先生が与えた『夢を失うこわさ』に怯えています。
最初のコメントを投稿しよう!