第二章

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そして、俺の前に置かれた皿には申し訳程度にグラスに入れられた水があった。 マスターは何だかんだ言って、まかないはちゃんとした料理を作ってくれた。 確かに俺は如月に嫌われている。まかないが出されるごとに、こんな奴に料理出さなくていい、金の無駄だと騒がれていた。 有言実行された訳だ。 優斗がいるので、水くらい出されているがいなくなってしまえば、本当に何も無くなってしまうのだろうな。 「あれ、星悟?ビーフシチュー美味しいのに食べないの。」 食べないんじゃ無くて、食べれないんだ。 「ああ、腹も減ってないしな。」 正直、もの凄く腹が減っている。お金も無いし、家庭事情もあってまともにありつける飯がここしか無い。 それも無くなってしまえば………学校の水道ってタダだよな。 「そうか。星悟には暖かい食事が待っているだね。僕は……今日親がいないんだ。」 お姉さんしかいないのか。 「今日帰りたくないな。」 二人とも違う意味で溜め息が出てしまった。
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