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「出所だ、出ろ。」
促されて、刑務所を出る。太陽が眩しい。雨か曇りが良かった。燦々と攻撃する太陽は私の肌には会わない。
だが、そんなことはどうでも良い。
あれから10年。言葉にすればたった二文字、しかし味わってみると異様に長かった。
社会の流行りには全くついていけないのだろう。政治の変動は刑務所の中でもある程度把握はできた。
とは言え、そんなもの私の目的には何の意味も無いのだが。
10年経っても朽ちない思いがある。刑務所にいる間何度か発狂しかけたが、この日のために大人しく賢く、耐えて耐えて耐え続けたのだ。ああ、待ち遠しい。今にも興奮して、奇声をあげてしまいそうだ。
待っててね、実里ちゃん。今会いに行くからね。
心の中で言葉を何回も繰り返しながら、成長したあの子への想いを募らせた。
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