第三章

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優斗視点 「?」 料理の供給が少し遅くなった気がする。 そう言えば、星悟がいない。 「優斗さん。5番テーブルのお客さんの料理出来ましたから運んでください。」 星悟のことにかまっていられないほど忙しい。どうせトイレか何かに行っているのだろうと自己解決して、また仕事を始める。 それにしても如月さんは料理がうまい。見ているだけでも涎が垂れそうだ。 今日のまかないを頭の隅で考えながらも、手はちゃんと動かして配膳する。 「優斗、違うわよ。5番テーブルの人は紅茶じゃなくてコーヒーを頼んだの。紅茶は7番テーブルのお客さん。」 やっぱり、考え事をしていては駄目だ。すぐにケアレスミスをしてしまう。僕はそんなに容量の良い人間じゃないのだ。 「仕方ないわね。私が7番テーブルのお客さんに運ぶから貸しなさい。」 そうは言うものの、見ると明日香の手にはすでに相当の食器が重ねられておいてある。 喫茶店だというのにこの食器の数はファミレスに負けないくらいの量だ。 「でも、明日香の手には………」 「だから!私が紅茶を持っていくからあんたはこの食器を運びなさいって言ってんの。」 ああ、なるほど。そういうことか。つもりは僕はかなり損をしているわけだ。 「早くしなさいよ。重いんだから。」 「分かった。分かったから、今すぐにその足蹴りの構えは止めて。」
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