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「如月。遅くなったすまーん。」
優斗との会話が終え、息切れも収まり扉を開けた。何故か仁王立ちしている如月はどうも怒っているご様子なので、気の抜ける様な挨拶をする。
しかし、期待外れなことに如月は余計に眉間にシワを寄せてしまった。
「遅いです。この一日私がどんなに大変だったか。」
長い間こいつと過ごしていると、キレ方に違いがあるのが分かる。そんなに怒っていない時は間髪いれず怒声が飛ぶのだが、本当に怒ると声がだんだん小さくなり、話さなくなって………今がその状態だ。
「しょうがないだろう。俺はお前みたいに通信教育を受けている訳じゃない。学校に通ってるんだこれでも頑張って走ってきたぞ。」
通信制の学校に通っている如月は俺達の様に全日または定時制の学校には通っていない。男性恐怖症のため女子校にも通う案が出たが、家から遠いため断念した。
「私だって………学校に通いたいですよ。でも、あなたも知っているでしょう。」
これは失言だった。彼女も外を怯えること無く歩きたいのだ。
「遅れたお詫びに助っ人を呼んである。どうぞ。優斗大先生。」
火消し役の登場だ。
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