最愛の君

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「はーるた!」 名前を呼ばれて振り返ると、小柄な女性がこちらに大きく手を振っている その光景が微笑ましくて小さく笑うと、女性はいきなり走り出し、全てを任せるかのように飛びついてきた 「美月…いきなり危ないだろ」 「春田だから、だよ」 腕の中で照れたように笑うのは、自分、春田雅樹(はるたまさき)の恋人である長谷川美月(はせがわみづき) 大学の入学式、たまたま席が隣で美月が話しかけてくれたことをきっかけに友達になった お互いがお互いを必要としていたが、どちらも一歩先へいこうとしない 周りの友人からはじれったいと何度も言われた 付き合うきっかけになったのは、美月が元彼に告白され、抱きしめられていた光景を見たとき 怒りで拳が震えた 自分以外の男が美月に触れることを許せない その場で元彼を引き離し、無理矢理美月の手を引いて歩き出し、誰もいない教室の前で強引に口づけた 嫌がられると覚悟していたが、美月は黙って受け入れてくれた 長い口づけを終え、美月を見ると笑っていた 「好き」 「うん、俺も」 想いが通じ合い、もう一度キスをする それからもう2年が経った
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