最愛の君

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何故美月は助けを求めたのか 最悪のシナリオしか頭に浮かばない 信号が赤になっている時に電話を掛け直したが、電源が切られてしまって繋がらない あいつはよっぽどのことが無いと弱さは見せない それは自分が一番よく知っている だからこそ心配だった 「無事でいろよ…!!」 周りの人に何度か当たったが、気にせずに進む 今の俺にそんな余裕は無い 季節はまだ春だというのに、額に汗をかき、息を荒くして美月の家に向かう 美月は一人暮らしのため、小さなアパートに住んでいる 荒々しい足音をたてながら階段を上った そして、美月の家の前の花たちが荒らされていることで怒りと焦りが増幅する 「美月!」 運良く扉に鍵はかかっておらず、扉を勢いよく開けて土足で部屋に上がった だが美月の声はせず、バンバンと地面を叩きつけるような音が聞こえた リビングに入ると、信じられない光景だった 上半身の服が破かれたようにその場に捨てられており、下着を脱がされかけている愛しい恋人 口にガムテープを貼られ、瞳からは大粒がいくつもこぼれ落ちる そしてそんな恋人をおもちゃのように扱う見覚えのある男 頭の中で何かが音を立てて崩れ、すぐさま美月の上にまたがる男を蹴り飛ばした 「美月!」 「…はるっ……」 男が倒れている間に美月のガムテープを剥がし、そばに掛けてあったシャツを渡す 美月は震えながらもシャツを受け取り、体を隠した
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