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先ほどのアリアの魔法は、中級の無属性魔法。
中級にしては比較的早い詠唱で終わる魔法である。
これは魔力コントロール力と素早い集中が要される魔法で、手慣れていないと爆発力の無い爆発になる。
そうでなくとも、威力を持たない爆発となるため、詠唱が早い分技術が要されるのだ。
そのため、威力を伴った爆発をしたアリアの魔法は、上手と言えるほどの物だった。
爆発させて、僅かな間を空けて、アリアは魔物に切りかかった。
「えぃ――りゃぁ!」
対象が低いため、剣を振り下ろして魔物を切る。
動きを止めている魔物は、簡単にその胴体を二つに分けてしまった。
(――ぅ……!)
剣伝いに、生々しい感覚が伝わってしまったためか、苦渋の表情を浮かべてしまう。
柄を握っていた手が震え、落としそうになるが、直ぐに我に返り剣を強く握り、まだ居る魔物を倒すために立ち向かった。
そんなアリアの心情を知りながら、横目で見つつ、メイは詠唱を始める。
「――〔地を這う者よ、地を駆け抜ける者よ。
留まることを知らぬのなら、行く先を阻まれ留まることを教えてやろう…ト・ガルゼット〕!」
詠唱を言い終えると、メイは地面に手を置いた。
ゴ、ゴゴゴゴゴゴゴ……
いくらかの地響きと共に、メイの後ろから突如土の壁が地面から現れる。
その壁は高さ5mにまで及び、先端が内側に丸まっている。
その上、壁にはいくらかの針のようなものが混入されているらしく、怪しく光っている。
そんな壁が、二番目の外壁の端から端へとそびえ立ち、乗り越えてきた魔物を逃さないようにする第三の壁のように、結構な範囲でそびえ立った。
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