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――まだ、アリアには己の手が震えているのがわかっていた。
剣が、その震えで剣先がブレて、剣の速度が遅くなる。
その上太刀筋まで僅かに変わってしまい、上手くは当たらないのだ。
その事に、アリアは己に無性に腹が立った。
怒りは、冷静な判断を鈍らせる。
我武者羅ながらも、アリアは剣を振るう。
その様子に気づいたのか、メイが加勢しようとしたが――
「また来たのか…!」
また、さらにネズミの魔物達が来襲しているのを知り、その相手をすることにした。
いくら壁が進入防止用とはいえ、弱点はもちろんあるため、あくまで保険用なのだ。
針は一度出ると、引くのがゆっくりな為次までに時間がある。
同族の亡骸を伝えば、乗り越えられてしまうかもしれないのだ。
だからこそ、あまり行かせないようにと戦っている様なもの。
遠くの、外壁の所でも大勢の兵士達が戦っているのが見える。
これでも逃している魔物は少ない方なのだろう。
舌打ちをしながら、メイは己の剣で、魔物を凪払ったのだった。
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