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攻撃が単調だから避けやすい。
けど、あまりの素早さに対応するのは難しい。
数が増えればやっかいなことこの上ない。
「いっ!」
攻撃を避けたはずが、爪に当たったらしい。
腕の服が軽く裂けて、血が僅かに出る。
だけど痛がってる暇はない。
立ち向かうためにまた、剣を振るう。
――きっと、トワレの森が今回の騒動の原因。
森に何かが起きて、多分、汚染されながらもそれから逃げた。
本能からなのか、まだ安全なこのヤシャールに向かって駆けてきたんだと思う。
そうでないと、この状態はどこかおかしい。
――修正しないと。
それで、こんな事がもう起きないようにしないと。
修正をしに、トワレの森に行かなきゃ。
でないと、騒動はこれから先、続いてく。
いびつな出で立ちのネズミが、私に向かって歯を剥き出しにして襲いかかる。
――この領が荒らされていくところは、見たくなんかない!
今後こんな状態が続いたら…なんて、想像しちゃった私。
皆疲れ切って、豊かなヤシャールは荒れ地に…
「――ふざけんなぁああああぁ!」
やるせなさと怒りと一緒に、ネズミを剣で薙払おうと、薄い魔力の膜を全身に纏って剣を一閃させた。
今までになく綺麗に二つに分かれたネズミは力無く地面に落ちたと同時のこと。
――ズクン
「い…?!」
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