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ネズミ型の魔物は、結局はネズミと同じでもある。
本能からの行動。
それは時として奇異な行動のように見えた。
やがて、何十、何百倍にも膨れ上がったその固まりは、異様なことにグズグズと形を変え、やがては一つの大きな物体と化した。
「な?!」
「こんな、事が……?」
先ほどまでは、確かに小さな個体であったネズミ型の魔物は、一匹の巨大な異形なネズミ型の魔物と、変化したのだった。
大きくなった魔物は、異常に血走ったかのような瞳を、ただ呆然とさせ、焦点は合っていないようだった。
「――怯むな!討伐対象が一匹になっただけだ!一番隊、位置に着け!」
「「「「はっ!」」」」
怯んだものの、まだ動き出さないだろうと察した、他の兵士に比べてやや豪華な装飾を着けている、隊長と思わしき男が兵士に号令を出し、指揮をする。
その声に気を取り戻した男達は、崩れていた陣系を正し、武器を構える。
そうしている間にも、他の援軍から魔法での射撃をしているが、魔物には全くといってもよいほど傷が無く、どうやら魔法に対しての異常な耐性は変わっていないようである。
そうなると、残る手だては武器による物理攻撃のみ。
――魔法が発展しているため、魔法が関係していない攻撃となると、大砲位までが限界な文明レベルとなる。
そして、ヤシャールが所持している、魔法以外での戦力攻撃できる物は、小型の大砲と、大きな大剣、ハンマーくらいになる。
だが、自身の慎重をゆうに越える巨体の魔物には、効くのだろうか?
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