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情けなくとも、それでも――
「何やってるんだろうな、俺達……」
「……だな」
「兵士になりたいって祈願したの、俺達から、だもんな……」
ギルド員でなく兵士や騎士になりたい者は、多くは志望制でもある。
だが、実力や在学時の実績が物をいうため、そこまで実力が無い者は、大半はあぶれてしまう。
現ワーズウェルトが下級貴族というのもあり、入れたようなものだ。
「――悔しいな」
「ああ…このまましょぼくれるのは、嫌だな」
「だよな」
「俺も」
一度は手放しかけた剣を、強く握りしめる。
――これが、夢だった職業のはずだろ?
皮肉じみたその問いかけを、自分に問いかける。
先ほどまであった弱音は、未だに付きまとっている。
だが、それ以上に湧き出て来たものがあった。
「――このまま終わってたまるかよ!」
“意地”
ただそれだけ、それだけで、若い兵士達は武器を握りしめ、足を魔物へと動かしていった。
そして――
「――ぇぇぇぇ?!ぃいやああああああぁぁぁぁあああ!!」
「へ?」
「え?」
遥か頭上を、叫びながら魔物の方へと飛ばされるアリアを見たのだった。
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