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フワフワと浮いたかのような感覚がすると、一度視界が、白く反転する。
そして周りのものは、まるでフォトショップとかで画像加工したかのような、
多くの色をもやのように纏いながらも、胸あたりに火のようなものを付けてあるものの、輪郭だけがそこにあるという不思議な状態になった。
――死体があったそこには、輪郭が先ほどの魔物の死体の、一つの黒ずんだ紫色の固まりが、あった。
黒ずんだ紫色のもやは詰まってしまって、どうやら抜け出せないでいるらしい。
なんとなく、その詰まったもやに手を伸ばす。
けど、伸ばしたはずの手はなくて、光の帯がもやに伸ばされる。
グチャグチャグチャと滞っているもやからは、私が触っているわけじゃないのに、手に振動のようなものを感じる。
――解いてあげよう。
不思議とそう思って、なんとなくもやを手でわし掴む。
――パシュン
まるで煙のように、掴んだもやは辺りに散り、そして滞っていたはずの魔物の死体から、それは抜け出した。
黒ずんだ紫色だったもやは、抜け出すとともに、綺麗な緑色となってキラキラと、辺りに散って、消えた。
すると、輪郭だけしかわからなかった魔物の死体は橙や茶色の光を帯び、囲まれ、そして四散した。
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