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そして、再び辺りは白い一面に、輪郭ばかりの世界に変わる。
相変わらず、手は白い帯のままだ。
普段、指を開く様な感覚の通りにしてみる。
ペリペリと音を立てるかのように、くっついていた帯は、中央付近から半分だけ、五本の指の様に別れた。
足を見ても、手と同じように光っていて、まるで私じゃないみたいだ。
ふと、遠くを見た。
輪郭ばかりの白い世界なのに、その先には黒ずんだ黒い固まりが見える。
―― シィンとしているはずのこの世界に、かすかに音が、聞こえる。
『――タ――…ス、ケ――――』
沢山の声を一つにしたかのようなその声は、酷く悲痛なもので――
――
――――
――――――
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