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「――ぁ――ま意識を離すな!」
メイの怒声で、古いアナログテレビが、電波を巧く受信出来ないような不鮮明さで、留まった。
なんで、メイの声が…?
――視界が気持ち悪い。
ノイズと共に、今まで見ていた白い世界と、別の紫色の視界が見える。
まるで複眼を手に入れたみたい。
「おさぇ――ら、お前はそのまま――」
視界と同じくらい、不鮮明な声。
そのまま――ってことは、全部を払えってことなのだろうか?
まあいいや。
少しだけだけど、ノイズが、白い世界に戻る。
体もそこまで引っ張られない。
体に力を入れれば、気を緩めなければ抜け出すことが出来た。
――残るのは、三分の一
『大丈夫?』
光の精霊が一匹、私に声をかける。
うん、大丈夫。
なんとか意識を保ってる。
『早く終わらせよ?』
そうだね――終わらせよう。
もう、悲痛な声を、聞くのも見るのも嫌だしね。
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