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私は走る。
走るかのように、空中を蹴る。
強化されたままの腕の剣は、右手だと黒い塊に向けて振り下ろすと、
まるで切れ味が凄い刃物で切るかのように、綺麗に二つに分かれた。
左手だと、切れ味はあまりなくとも、衝撃は強いらしい。
切りつけたところから、塊は壊れていく。
――そして、多量の綺麗な燐が舞っている中、残ったのは、ドス黒い塊。
これが…
『核だよ』
薄暗い球体に、(・_・)な点と線の顔の闇の精霊が言う。
『この魔物が、一番汚染されていた――ネズミの魔物の、ボス』
『仲間のために、汚染されてた森を駆け巡った、優しい魔物』
『今じゃあ、ほとんど意志は無いけどね』
……それは、酷い。
仲間のために頑張った結果が、これっていう事?
『そうなるね』
そんなのは…理不尽だ。
『仕方ないよ。なる様にしかならないものは』
『だからさ、助けてあげなよ。
少なくとも、魔力を祓ってあげるだけ、この魔物は苦しみから救われるから』
……そう、なんだ。
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