829人が本棚に入れています
本棚に追加
* * * * * *
兵士達がやる気をなくした中、僅かに勇気と信念を湧かせた兵士達は、
叫びながら遠くから飛ばされ、巨大化した魔物の背に着地した、確かな主の一人を見ていた。
「へ?」
「え?」
あまりにも唐突なことに、思わず情けない声が出てしまう。
「あれって……」
「ああ、そうだよな……?」
折角湧いた勇気が、唐突すぎる出来事に、思わず抜け出てしまう。
緊張感も、その瞬間は全く無くなっていた。
「――お前等、戦う気がないならとっとと退却しろ!」
そう言ってきたのは、まだ若い兵士達にとっては先輩に当たる兵士だった。
隊長職ではないが、彼も指導する側。
先ほどの隊長の言葉を聞いたのに、上を見て呆けていた兵士の身を案じてきたのだろう。
「で、ですが…」
「あれ、アリア様、ですよね…?」
「はぁ?!なんでアリア様がこんな、所……に?……え?」
魔物の背の方に、若い兵士は指を差し、兵士は目を細めながらも魔物の背を見る。
「んん?」
巨大なため、あまり遠くないのもありよくは見えないが、背にはもぞもぞと動く、小さな人影がある。
その人影は、太陽に照らされて見えたのは、見覚えがもの凄くある色の髪をしていて――
「あ――ああああああ、アリア様~~~~?!」
その出来事に、思わず叫んでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!