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「おい、捕縛系統の魔法が得意な兵士を今直ぐ集めろ!」
それは、アリアが友人だと言った、兵士達よりか幼い少年、メイだった。
「な、何故君が――」
「いいから早くしろ!あのネズミをどうにかしたいなら、今直ぐ捕縛して固定しろ!
でないと、アリアがどうなっても知らないぞ!」
「――直ちに!」
その兵士は、忠誠心が強かったのだろう。
アリアの名を聞くと、素早く他の兵士に伝達をしていった。
メイはその事を確認すると、再び魔力を体に巡らせ、中でも足に集中させた。
『メイは、優しいね』
「……」
光の精霊が、どこか嬉しそうに笑った。
そして、近くにいた風の精霊が、メイの足に集められた魔力に、入ってゆく。
すると、魔力は風を帯び、迫力が増した。
ドンっと、地を蹴り、高く飛び上がる。
だが、酷く大きな巨体はそれ以上に高く、背までは届かない。
とっさに魔物の紫色の体毛を掴んで、背までよじ登る。
(――今のまでに、魔力は大半消えたか…?)
気だるさを感じながら、メイは何とか上りきる。
――座り込んで、魔法を発動し続けているアリアが、そこにいた。
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