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「――言ったよな?アリアが、その力使うと無防備になると」
『うん』
「なら――俺にも、力を貸せ。
アリアが無事に終えるためのサポートをするぞ」
『決まってるじゃん』
『メイの頼みは、僕達は拒まないよ』
そう言うと、メイは一度辺りを確認する。
魔術が得意な者が、足を固定しようと幾重にも拘束している。
「出来るとしたら?」
『今の残量だと、この魔物を固定することは出来ないね』
「そうか……」
『けど、一応アリアのこの状態を現状維持してあげればいいだけだから、それくらいなら何とかなるよ』
「そうなのか?」
『うん。後は――アリア次第、になるけどね』
クルリ、と、浮かびながら光の精霊はその場で回った。
どのような行程で、どのようにして行われるかは知らない。
だが、そのまま魔法を掛け続ける状態を維持するだけなのなら、確かに“無防備”だ。
どう見ても――アリアの意志が、ここにはないのだから。
「どれほどの範囲なら、まだ平気だ?」
『まだ未熟だから、触れてさえいれば』
「そう――?!」
精霊と話していた途端、足下が突如グワン、と動き出した。
魔物の巨体が僅かに体がよろける。
――う゛ぉおおおおおおぉぉおおおおおおおおおおおぉぉおおおお!
ダン、ダン、ダンダンダンダンダンダンダンダンダン!
大きな叫び・今までにない俊敏な足踏みのような動きを見せ、魔物は突如暴れ出した。
そして、ブチンッと嫌な音が確かに聞こえた。
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