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「おい、アリア!そのまま意識を離すな!」
そう叫びながら、さらに腕に力を込めて体を寄せ、離れかけていた腕を戻す。
「押さえておくから、お前はそのまま修正に集中しろ!」
無意味だと思っていても、叫ばずには居られない。
案外、人一人なら何とかなる気がするが、掴んで支えているのが、魔物の毛だ。
頑丈な様だが、いつ切れてもおかしくはない。
アリアは、再び目を閉じ、意識を無くす。
戻ったらしい。
手はそのまま魔物に伸ばされながら、魔法は光を再び強くし、続いている。
僅かに、辺りを見る余裕が出て、メイは下の方を一見した。
――見る限りでは、怪我はしているが、補助魔法を掛けるというのもあったからだろう。
死者は、見える限りではいない。
兵士達がしきりに、こちらを見ているのが判った。
――少し時が経つと、途端、三分の一ほど覆っていたアリアが発していた魔法が、魔物の全体を多い、そして消えた。
次の瞬間、巨大な魔物の体から、青緑色の霧の様なものが溢れ出る。
それはとても勢いがよく、その勢いにアリアの体が飛ばされそうになる。
咄嗟に魔物の体を蹴って、アリアの体をかばいつつ魔力を足に纏う。
ダァン!
よい音を点てて、地面に着地し、アリアの体を地面に置いた。
多量の青緑色の霧は、ひとしきり吹き出すと、風によってかき消されていった。
その中から出てきたネズミの魔物の巨体は、良く見ると多量の小型の茶色いネズミとなっていた。
――グラリと、その巨体だった塊が、崩れてゆく。
―――――トボトボトドド゙ザザザザザザザザザザザザザザザァ――ッ
「うわぁ?!」
「ひぃ!?」
「な、いきなり崩れてき…あ、あれ…?この魔物、ピッド?」
「え?……ほ、本当だ、どう見ても、ピッドだ…」
雪崩のように崩れ、埋まりかけた兵士が居る中、皆は紫色になっていた異常種だった魔物を見る。
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