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ピッドは、よく森にいる魔物で、仲間に危機が訪れたりしない限り攻撃してこない魔物。
ピッドが居る森は、とても恵まれた森とも言われ、
木の実を運んでは、食べる以外は埋めて、森を広げる魔物とも言われている。
攻撃してしまった場合、彼らは連帯攻撃と、仲間を呼んで数で押してくるため、戦うときは注意が必要というのもあるが……
彼らの体長は15cmから30cmほど。
それなのに一つの巨塔が崩れたかのような量のピッドが、そこで、死んでいた。
何となく、多くの人は目を俯く。
守れたはずなのに、変な虚無感があるこの騒動は、何だったのだろうと思いながら。
そんな気持ちを振り払うかのように、一つの怒声が辺りに響いた。
「――全員、安否と安全を確認!その後、アーゼン様にご報告だ。急げ!」
「「「「「はっ!」」」」」
隊長の一人が、そう声を上げると、兵士達は気を取り直し、キビキビと、被害状況を確認していった。
「あの、アリア様は大丈夫でしょうか?」
兵士の一人が、メイの傍らでまだ寝ているらしいアリアの身を案じ、声をかけた。
「少しだけ気を失ってるだけだ、直ぐに戻る」
「……ん?」
そういうと、アリアは目を覚まし、もぞもぞと起きあがる。
「あれ?あの魔物は……」
「もう、終わった」
「そっか、よかった」
ぼうっとした状態で辺りを見回して、ピッドの山積みの死体を見る。
「これで――良かったんだよね?」
小さく呟かれたそれは、まだいる兵士には聞こえず、側にいたメイだけが、聞いていた。
――風がサァッと吹いてゆく。
まだもう一つの問題を抱えながら、昼は過ぎていったのだった。
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