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その人は女の人で、滑らかなブロンドの髪に、白い肌。
長い睫に海のように蒼い瞳をして、その唇に塗られた口紅は艶やか。
その体躯は出る所は出て、締まる所は締まっている、文句なしの美人がそこにいた。
だが、先ほどからの怒声を荒げる為に開かれた口元は、酷く皺が寄るほどのもの。
女には年を聞いてはいけないのだろうが、どう見ても三十路以じょ(ry
『とにかく、こちらはこれから貴方方の領のせいで出来た多量のピッドの死体を処理する所です。
とっとと森を調べてくださいね』
「ちょっと待ちなさい。異常種としてヤシャールに流れたのよね?」
『ええ、そうですが?』
通信機の向こうにいる人物に向け、声を荒立てているものの、その思考は少しは冷静であった。
「――どうやったわけ?最近の異常種は、酷くやっかいだと聞くわ」
『変なものを流してくれた貴方に教えるつもりはありませんよ。
おかげで娘の誕生日は中断、死者は出ずに済みましたが、兵士達が負傷しました』
「チッ……くえない男ね」
『そういう貴方は老けましたね。
そんなだから男が出来なくて婚期を逃すんですよ。
良かったですね』
「アーゼン!あんたはあああぁぁぁああああああ!!」
『そう言うあなたも、相変わらずですね、グリット』
そう――通信機の向こうにいるのは、ヤシャール領主のアーゼン・V・ワーズウェルト。
そして対応しているのは、アリア達がいるライザール国の、ヤシャールより南側にある横に長く広い《ファボット領》、
その中で魔物討伐を主に行っている、有名な総合ギルド【漆黒の北風】のギルドマスターもとい、領主の娘でもあるグリット・O・グラングル。
娘といっても、彼女には何人か兄弟がおり、今では兄が領地を治めている。
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