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《ファボット》は、ヤシャールの隣にある領地だが、とても広い領地で、イデイル国とのやり取りをした商人や旅人が王宮のある首都まで行く道のりであり、
ライザール国の南で採れたものを流通させる役割を持っていた街でもあるためか、
徐々に大きくなった《アジャン》という大きな街があった。
そのためか、王都の次に人々が良く集まるため、ここには多くのギルドが集まっている。
その数は有名なのがあれば、身内内のみで結成されているモノもあり、
また、魔物討伐目的のギルドや商いのみのギルドもあるため、数も様々だ。
そんなギルドの中で、ライザール国の看板ギルドとして有名な一つのギルドだ。
国内の情勢や多くのことに携わっていることが多い。
そして、そのトップのもなれば、多くの情報を得ているも同然だった。
――それなのに、何故自分の膝元の異変に気づかなかったか。
今回、アーゼンが電話したことは、そのことについての確認、そして報告だった。
通常、領主同士が話し合うのにはそれなりのアポイントメントが必要だ。
その上このような用件については、急を要するのに急げず仕舞になる。
そこで、連絡を取ったのはギルド、しかも、ギルドマ
スターと旧知の仲となれば伝達はまだ早い。
『ともかく頼みましたよ。
一応こちらから、状況確認のために少人数送らせていただきますが、遺棄が終えてから行かさせていただきます。
これ以上私に借りを作りたくなかったら、自分の駒でこちらから派遣する方が着く前に状況把握対処してみることですね』
「だあああぁ、わかった、わかったわよ!ったく面倒ったらありゃあしない」
『一番面倒なのは、貴方にこき使われる人達でしょうに…』
「うるさい!」
がちゃん!と、思い切りピアスを床に叩きつける。
叩きつけられても壊れないピアス型の通信機だが、通信は途切れたようだ。
息を荒げて一時ピアスを見つめるが、少し冷静になると、すました表情に変える。
「ちっ…クソアーゼン……まあいいわ。向かわせるとしましょう」
そういうと、グリットは再びピアス型の通信機で、どこかに連絡をしたのだった。
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