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「切れましたか……」
ガチャン!という音が聞こえた後何も聞こえなくなったため、
通信が切れたことがわかったが、アーゼンは自分の執務室でふうっとため息をついた。
「あの女、わかっているんでしょうかね?ピッドが森を飛び出した――その、危険性を」
おそらく、生息していたピッド全てが、ヤシャールを目指して来たのだろう。
でなければ、あの量のピッドはまず、そう簡単には現れない。
ピッドが居る森は、恵まれている。
逆に――居なくなることがあるとしたら、それは――
「…ピッドが居た森からピッドが居なくなった時。
それは恵みが失われたか、あるいは、森の終わりですね」
下級であればあるほど、多くのことに敏感になりやすい。
ピッドは、どんなに強者が居ようとも、一族の存続に危機が出ない限りは出来る限り森に留まる魔物。
その魔物が、異常種になって逃げ出すほどだ――
恐らく、トワレの森は――
「……結構、トワレの森は資源が多かったのですが、残念ですね……ですが……」
アーゼンは、一つ、ため息をついた。
パーティーはお開きとなった。
このような不祥事が起きた後だ、続けるほどふてぶてしくはない。
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