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――やはり……
一時だけ、目をつむる。
――起こり得ては、欲しくなかった……
出来れば、そのまま、“普通の命運”を、歩んで欲しかった。
――コンコン
「失礼します……アーゼン様…本当に、アーゼン様が、行うのですか…?」
「ああ、行いますよ、ノヴァン」
「ですが、そのお体は――」
「治ったんだよ、ノヴァン」
重々しく現れたのは、アーゼンに就いている執事、ノヴァン。
医療についてとても詳しく、専門職に行けるほどであったが、
アーゼンの身を案じて今まで仕えてきた、信頼の置ける人物だ。
「治った?!そんな訳――」
「あったんだ、そんな訳が……一つの薬で…」
「――……」
信じられないと、そう言おうとす。
だがノヴァンは言葉と共に見たアーゼンの目を見て、声にはならなかった。
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