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「ワーズウェルト様」
気がつくと、私は泉の縁に立っていた。
「……アリアって呼んでって、前にも行ったでしょ?コーネール」
「いえ。下級といえども貴族なのですから、その自覚をお持ちになってください」
「貴族……ね……」
なんて家柄にしてくれてんだか、世界。
――ここじゃ、私はアリア・V・ワーズウェルト。
代々続く下流貴族の子供で、ヤシャールと呼ばれる小さな地方を納めている。
いわゆる地主……って所かな?
一応兄が居て、相続とかは兄がやるからいいけど、私は今の所この家から、この領地からは学校以外じゃ出られずにいる。
母親は既に死んだようなもので、父親が居るんだけど、こりゃまた仕事熱心というか、子供には無関心みたい。
ただ、一応掟として、15歳を迎えるまでは一人前としては認めないから外に出ちゃ行けないんだと。
お堅いことで。
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