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「ねえメイ、その薬って何?」
「……魔力増加薬。
これは見てみると非合法ものじゃなく合法ものなんだが、材料があまり採れないせいか、結構高い代物だ。
まあ、これはそれほど回復しないからまだ値段が低いが、魔力が回復するものはとにかく高い」
「あー……今日魔力を使わせちゃったからね、ごめん」
「俺が勝手にやったことだから別に礼はいい」
すぐさまビンの蓋を開け、中身を飲み干す。
不味くないのだろうか?
「……美味くはないぞ?」
私をみてメイはそう言った。
くそ、読まれてる……?!
「アリア様はお顔に出やすくなられましたね」
「だな」
「え、婦長さん?!それにメイまで?!」
顔に?!からかわれてる?!
「というのは置いておきましょう。とりあえずは、この黒いローブをひとまず着てください。葬儀の礼服を着たまま、視察に行く事や、一度着替えてゆくのは手間がかかるとのご配慮です」
「あ、うん……」
置いておかれたよ……
というより、15になった娘を使いにそのまま向かわせていいのかよ……
そう思いながらも、私は用意された黒いローブを着る。
縁が淡い水色になっていて、裾には模様が描かれているローブ。
胸元にはライザール国の、雪の結晶のような紋章と、その下に青いラインヤシャールという文字が書かれている。
これはどこの地方の使いとわかるための、区別のためのものだ。
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