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数十秒経つと、それは徐々に萎んで溶けて行くかのように、形を崩す。
僅かに空気中に霧散する魔法がキラキラと煌めいた。
そしてその場に残された、いくらかの土と、小さく輝く数多の魔石。
魔石は、魔物がたまに持っている、魔力の結晶。
ピッドは強い個体の魔物じゃないから小さいけど、強くて体の大きい魔物はまるで宝石のようなのを持つ。
人は、魔物の肉も食べる。
けれども、食べない場合は、ああやって魔法で埋葬してあげるのがしきたりとなっていた。
先ほどまで魔法を使っていた彼が、その場から外れて、物陰に移動すると、体を倒した。
無理もないと思う。
強がっているけど、あれは、息継ぎしないで早く泳ぎ切ろうとするようなものだし。
次の日も疲労は残るだろうね。
さて、と……
土の山となったそれを、少しの間手を合わせて黙祷していたアリアに、着いていこうっと。
ファボット方面かぁ。
あの森は今あの状態だけど……
アリアは、一体どういう行動をとるのかな?
楽しみだなぁ。
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