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……………
……
はあ……はあ……
聞こえるのは、自分の息づかい。
そして、しゅるしゅると蠢く、魔物の音。
「……ふざけんじゃねぇよ……」
悪態つきたくなる。
どんなに武器が切れ味が良くても、それを振るう腕はもう疲れ果ててきている。
どんなに、力があっても。
どんなに、魔法が凄くても。
「なんなんだよ、コイツ等は……!」
魔法で強化しても、まともに力が通らないのが解る。
その上、切ってもまた、再生するのだ。
こんなの、「神の知識」に無いことだ。
だらん……と、腕が限界を感じている。
……けれども、剣を振るった。
「…ぜぇ……ぜぇ……あいつ、ギルドに報告できたかな……」
いつも、俺と共にいる、この世界に来てから出来た友人。
邪魔だから打ちのめしても、俺に関わってくる……そんな奴。
「帰ったら……飯でも奢ってもらうか……」
にっ と、口の端を歪ませる。
そして、また……自分に向けてくる巨大な口を、切りつけたのだった。
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