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そのせいか少年は少しつんのめり、アリアが掴んでいるのを知ると、少し訝しげな顔をした。
「……なんだ?」
「ねえ、名前、何て言うの?」
「名前か?メイ、だが?」
「メイね。私はアリア。お願い、私の修行に付き合って!!」
「……は?」
「どこが悪いか指導してくれるだけでも良い!だから――」
「ちょっとまて、落ち着け」
少年――もとい、メイに目の前を手で遮られ、アリアは自分が焦っていた事に気づいた。
「お前がアリア・V・ワーズウェルトなのは知っている。
だが、良いのか?見知らぬ奴にそんな事を頼んでも」
「私が強くなるためには師が必要なの。それに今見知ったし、危害を加えるようにも見えない。
それに、アドバイスを聞く限りじゃそれなりに手練れてるでしょ?!
だから頼んでいるの!
……けど、旅人なのによく私がワーズウェルトって解ったわね?」
「は?……知らない、のか?」
「……え…何、が……?」
キョトンとした顔のアリア、驚いた顔のメイ。
『知らないのか?』
その一言で、兄と比較されて才能がないということが有名になっているのだろうかと思い、表情に少し戸惑いが現れてしまう。
「わ、私、有名なの?」
「…そう、とは言えるけどな……」
「…マジですか」
頭が痛い、とでも言うかのように頭を抱える。
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