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「けど修行の件は別だからな」
「ぅぐっ……!」
突如冷たく言い放たれたその言葉に、一気にアリアは地面にうつ伏せた。
「そ、そこを何とか……!藁にもすがる思いなんです!」
「……まあ、確かにそうだな」
メイが見る限りでは、まともに頼りになる教える側が居ないのだろうと察した。
それに本だけでは限りがある。
確かに、アリアの言うとおり、師が必要だ。
「……言っておくが、俺が魔法で得意なのは補助と防御系だ。
攻撃魔法は自分で覚えろ。
それに、全てを教えられるわけでは無い。
その上、修行と言っても、体力向上と魔力操作、維持を中心に行う。
それでも良いなら、受け持ってやらなくもない」
「それで良い!それで良いので!!」
「…なら、この後からやるか?どれくらいやれるのかがまず知りたい」
「やります!やらせてください!」
「なら……」
メイはリュックからアームバンドを四つ取り出し、アリアに手渡す。
それは結構な重量で、ズシッと付加が掛かった。
それと同じく、どこか試すかのようにニヤリと笑った。
「耐えろよ?俺の修行は忍耐が必要なものだからな。
後悔する様だったら今「やる」と言った自分を恨めよ?」
「――やってやろうじゃない!」
ちょっとメイが怖いと思ってしまったが、元気よく答えた。
そうでないと、強くはなれない。
アリアで無い時から、そう思ってきた。
そうでないと、自分に自信が持てないから。
だから、「始めから何でも出来る」状態を拒んだ。
自分が、自らの心も、自分自身が会得しなければ意味がないと信じて。
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