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…ちなみに私が死ぬ前出来事はこんな感じ。
* * * * * *
「ちょっと、やめて!」
「うるさいわよこの泥棒猫!あんたなんか居なければ…居なければ!」
仕事が終えて、夕食の買い物の帰り。
大通りで信号待ちの最中、背後でなにやら修羅場が起きたらしく揉めているらしい女二人とイケメンらしき男。
なにもこんな所で揉め事をするなよ…
……って思っていたら、突然後ろから ドン! と衝撃が…
え?
しかも、ぶつかってきた障害ごと飛ばされて、
段差がある所だったから変に勢い付いて、
私を押した女達は段差の下に転がったけど、私は勢い付いて道路の車道の中央まで転がってしまった。
…わお。
しかも、車道の方の信号は変わりかけてて、ラストスパート!と言ってもいいくらいに加速した車が。
…まじか。
そんな私は両腕に夕食の材料という、重い荷物をぶら下げていたわけで――
ドォン!
逃げ出し不可能の、二次災害にして酷い仕打ち。
全身が一度捻り潰れるような衝撃を受けたあと、バラバラのぐちゃぐちゃになって、私の人生は終わった。
* * * * * *
…こんな状態で死んだんだ。
最後の最後であれだけど、平凡な生涯だった…そう思っていた。
だからさ。
「……」
「……」
「…で?」
「すいませんでしたあああああああぁぁぁああああ!」
その生涯を終えるのは手違いだったって・・・どういうことだよこの禿。
いや、禿げてはないんだけどね。
一応ふっさふさのにーちゃんです。
今は冷や汗と涙と鼻水を軽く出してるという、よくある布を纏ったかのような異様な格好の、金髪の残念なイケメンでした。
鼻水ずるずるに出てるんですけど。
「……っち」
ビクゥ!
「あ、口に出してたや」
驚いてやんの。
心を読めるかと思ったけどそうじゃないみたい。
何こいつ面白い。
鼻水出てるけど。
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