過保護とは酷く厄介なものだ。

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+  +  +  +  +  + 屋敷から宿屋は結構離れているが、薄くでも魔力添付させた足はとても早く、ここ一月で鍛えたためかなおさら速度が速い。 そのため木々の合間を縫うのが少し困難だが、林で一人でやった修行を思い出す。 (……あの時はただ目で追ってから避けたけど、体が軽いから早く対応出来る!) アリアが、今のアリアになった時よりも体は軽く、息も整っている。 暗いとはいえ月明りがある状態だ。 先が見え、最小限の立ち回りで避ける事が出来る。 あの時よりか、格段にいい動きが出来ているのが解るのだ。 これはメイのおかげだと思っていると、影に紛れて、月明かりで見知った人が目に映る。 「メイ!無事だったんだ!」 「……お前、寝間着でこんな所に出るなよ。風邪引くぞ」 ゴソゴソとリュックから一つの女物の上着を取り出し、アリアに渡した。 ややレースが施してある洒落ている上着で、鏡を見て、改めて自分の容姿を自覚したアリアには、どことなく似合っていた。 「可愛い……女物?何でこれ持ってるの?」 「交渉で入手したものなんだが、姉に送ろうかと思っていた奴だ。着ておけ」 「……ありがと」 確かに、疾走して結構体が冷えている。 なので上着を貸してくれることは有り難かった。
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