過保護とは酷く厄介なものだ。

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「あ、アリア様が私に……!」 「過保護にしたいんだろうけど、度が過ぎるわコーネール。 私をどう思っているかは解りかねるけど、私にだって守りたいのがあるの…… メイに何かしてみなさい?私が叩き伏せてあげるから」 「で、ですが……」 「いい?ここにいる皆にも言うわ。 今後、私の友達に何かしてみなさい? ……私が相手してあげるから」 怒気を含んだその言葉に、一度あたりが静まり返る。 半数が恍惚の表情を浮かべているのは気のせいだと思いたい。 「それに、過保護すぎるのは良くはないわ。 私はあと数日でもう15歳になって一人前とされて、自分で自分の道を歩みたいの。 私は私で自分の友人を見つける。皆の介入はいらないわ」 「ですが「そこで裏切られようが、それは私が愚かだっただけ。 それに、このワーズウェルトの名があるからというなら、私はこの家名を捨てても良い。 私が継ぐわけじゃないしね」 「そんな……」 コーネールは地に膝をつく。 コーネールの家は古くからワーズウェルトに仕えてきたのだ。 恐らく、彼はアリアを守ることに使命感を感じていたのだろう。 「おや。どうやら気づけば一人前になっていたようだね。アリア」 「……アーゼンお父様?」 屋敷の方から、悠然と出てきた青年に声をかけられ、アリアはその人を目に捉えた。 公務で滅多に見かけない父親は、それなりに年をとっているはずなのだが、酷く若く見える。 一部分は伸ばしているが、他は肩まで切りそろえている、アリアのように毛先に至るまでに水色、青、紫と色が変わっている髪。深い藍色の瞳は鋭く、整った顔立ちをしている。だが彼が浮かべる笑みはどこか甘美なものだった。 やや華奢にも見える体格をしているアーゼンは、他の人にはない威圧を感じられた。
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