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それに口では社交辞令が出ていても、3人を取り巻く雰囲気は親しみやすさを感じるからだ。
「よくわかったね。昔、オーロンで二人と会っていてね、それ以来親しい仲なんだ」
「懐かしいですわね~。
あの時は、とても賑やかな学生生活を送れていましたわ~」
「そうね…後はウォータ家の当主も同い年で、他にも親しい方が数人いてね、よく騒いだのよ。
一部じゃ伝説に上る出来事もあったのよ?
アリアさんも、オーロンに行くようでしたら調べてみると良いですわ」
ね?と言って、ダーク夫人は少し優しそうな笑みを私に浮かべてくれた。
ダーク夫人良い人!
それに比べてガイア夫人はお父様に釘付け。
けど、ふと思い出した……と言うかのように見せかけた動作をして、ガイア夫人はお父様を見つめながら言い出した。
「あら~、そういえばアリアちゃんの成績……あまりよくはないと、風の噂で聞きましたが…結局の所どうなんですかね~?」
――この言葉の後、周りで話しを聞いていた人達、ダーク夫人、そして様子を伺っていた使用人、そしてお父様もが静かになる。
それに気づかないかのように、ガイア夫人は話を続けた。
「ハシィの子は~、安定の状態でオーロンに入れますが~、いくらアリアちゃんが可愛らしくても、“才能がない”……なんてことは、いくら何でもありませんよね~?」
フワフワとした、とても“可愛らしい”笑顔。
だがその言葉は私を追いつめようとしている。
「失礼ながら、そのお言葉はどのような意味でしょうか?」
「あら、いえ~、アリアちゃんを貶そうとしているのではないですよ~?
ただ、その様な噂話が出回っていると言うだけで~、審議はどうなのかを少し、すこ~し聞きたかった“だけ”ですよ~」
だけ
そう、だけ、と言う名の、蔑みだ。
私に対しての、見下しと言う名の、軽蔑という名の蔑み。
この世界に来て、私が思っていた物と同じ……
……いや、この世界に来る前、私はこういう女の腹の内をよく見てきた。
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