試験と試練は一つの戦場である

15/44
前へ
/179ページ
次へ
「アリア」 「……なんですか?お父様」 「泣きたいなら、泣きなさい。   もう  堪えなくても良いから」 ――ぽたっ 「…ぅ…ふ……」 涙が、頬を伝う。 最初は一粒だけ流れたくせに、瓦解したかのように後から後から涙がぼろぼろと流れる。 ――悔しかった。 頑張っている今を、否定されている事に。 あんな風に言われてもなお、階級を気にしなければならない事に。 …このままメイに会わず、一人だけだったら、結局は何も出来ず、言い返すこともままならなかった事に。 そして、ああ言われて、耐え、受け流すことが出来なかった自分に。 ただただ、悔しく思えた。 「…うぅ…ヒック…ぅ、え……」 「…よく、最後まで耐えましたね」 変に後から流れる涙を、私の身長に会わせてしゃがんだお父様が、ハンカチで優しく拭いてくれる。 その手つきが、酷く優しくて。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

829人が本棚に入れています
本棚に追加