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「アリア」
「……なんですか?お父様」
「泣きたいなら、泣きなさい。
もう 堪えなくても良いから」
――ぽたっ
「…ぅ…ふ……」
涙が、頬を伝う。
最初は一粒だけ流れたくせに、瓦解したかのように後から後から涙がぼろぼろと流れる。
――悔しかった。
頑張っている今を、否定されている事に。
あんな風に言われてもなお、階級を気にしなければならない事に。
…このままメイに会わず、一人だけだったら、結局は何も出来ず、言い返すこともままならなかった事に。
そして、ああ言われて、耐え、受け流すことが出来なかった自分に。
ただただ、悔しく思えた。
「…うぅ…ヒック…ぅ、え……」
「…よく、最後まで耐えましたね」
変に後から流れる涙を、私の身長に会わせてしゃがんだお父様が、ハンカチで優しく拭いてくれる。
その手つきが、酷く優しくて。
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