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誰かが居ないと、“私”は何も出来なかった。
5年だけ若返った、アリアという私は、転生前の私とは育ち方が違う。
転生前の私と、貴族として育ったアリアという私が混ざった今の“私”は、元がアリアなのもあってか、どうしてもアリア寄りになってしまっている。
転生前の私は、両親は居たし友達も居た。
けれども、その両親は精神的に弱くて、何かがあるとヒステリックになったり暴力紛いの事をしていた。
よく喧嘩し、そのとばっちりが私に回ってきていて、離婚すればいいのに全くしないという不思議な両親。
友達は、完全に心許せるという友情から出来たわけではなく、お互いの事情は気にしないという、いわゆる学年に一人は必ず居るようなはみ出し者が集まった中で、自然と友達のような付き合いになっていた人達が友達だった。
その子達は一般で言うオタクで、一方的に話してくるだけで私のことにはあまり足を突っ込まない子達だからとても楽だった。
そんな両親だからこそ、そんな友達だからこそ、私が居なくなったら、地味に長年に渡って悲しむことを知っていた。
「私の人間観察力を嘗めるなよ」と言いたいくらいに、それは確信を持てるほどだった。
両親は、何かを埋めるかのように私を捉え、
友達は、私を好きで構って来ていたから。
そんな彼らには、私は特に未練は残らない。
それほど、転生前の私はどこか荒んでいた。
けど、アリアという私は違った。
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