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「――休みますか?」
「……もう少し収まったら、もう一度向かいます」
「アリア、今は別に敬語を使わなくて良いからね」
「…あのままなの嫌だから、もう少しましな状態になったらまた行く」
「そうか。なら、少し部屋で休んでいなさい。
落ち着いたらメイドの方に頼んで、身支度してから来ると良い」
「わかった……お父様、ありがとう」
あれから数分。泣き止んだものの、目が赤くなってしまっているため、アリアは一度休むことにした。
ててて、と小走りに部屋に向かい、一度アーゼンに礼を言って自室に向かったアリア。
僅かに笑いながら、アーゼンはアリアの姿が見えなくなるまで見送ると、直ぐ横にある、僅かにドアが開いていた一室に入る。
「……普通は、ああいうのは君の出番じゃないのかな?メイ君?」
「俺には、そういうのは向かないですよ」
そこでは、薬の調合をしていたらしい、やや身軽な格好のメイの姿があった。
元々持っている道具や薬草らしい草や花なども、案外広い床に置かれ、床に座って作業している。
部屋を一別すると、メイ用にと用意させた礼服が、クローゼットにかかっているのが見えた。
「それに、用意していた服も着ないで……どうせなら、アリアと共に参加して欲しかったんだけどな」
「ああ行う場所は苦手ですから」
「そう言いながらも、メイ君が物陰から様子を伺っていたことくらい知っているよ」
「……」
図星だったのか、メイは黙った。
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