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「~~~~――――?!」
不可抗力で、薬と言い難い形状の薬を無理矢理飲まされ、その味がとんでもないものだったため、口を押さえて悶える。
その上体中が熱くなり、体中が沸騰するかのような感覚、さらに強い眩暈のせいで床に倒れ込むアーゼン。
そんな状態のアーゼンをメイは非情にも無視し、別に避けておいた、アーゼンに飲ませた薬を薬瓶に詰め、今まで出ていた器具を片づける。
「ぐ……ずる、ぃ……何を……飲ませ…?!ゴホッ」
「公務で疲れている上に病人のくせに無理しているのが悪い。
――心臓と肺に異常を抱えているんだろ?まだ頑張らなければいけないなら、我慢しろ」
アーゼンは全身の痛みが襲い掛かる中、その言葉に驚愕し、目を見開く。
「――それを、どこで……?」
「さっき言っていた執事に聞いた。
――常にそばにいただろ?“執事にしては、医療に詳しい奴”が。
そいつに問いつめて聞いた」
メイが薬品の事を聞いたのは、始めはメイドだった。
だが、そのメイドには解らなった様で、「知っているとすれば…」と、教えてくれたのが、アーゼンについている執事、ノヴァンだった。
案の定、ノヴァンはケントルググ草の事を知っており、取り置いてあると、屋敷の医療品が置いてある医務室に案内したのだ。
――ただ、この草のことは、医療に詳しい人しか知らない。
この草は一般的ではなく、栽培も難しいく、一部の地域でしか生えておらず、多用することは困難。
その上心臓発作にしか効かないとされている。
そのため、一般では知られてはいない。
それなのに、ケントルググ草を知っている上に、一般の人に開放するための倉庫ではなく、何故この家の人のための医務室にあるのか――……考えは、直ぐに行きついた。
「そ……彼が、口…割るとは……君も、やり…すね」
「……このまま死なすのが惜しかっただけだ。
それに、これから学園に通わせてもらうという恩もある。
数分だけ、もう少し体調が酷くなるが我慢しろ」
その言葉を聞いた途端、沸騰するかのような感覚は、身が捻れ、ブチブチとちぎれるかのように、酷い痛みを伴った。
特に心臓の辺りの胸元は、抉り出されるのではないかと錯覚するほどだ。
その痛みにチカチカと意識を失いかけるものの、声無き悲鳴をあげながら、ひたすらその痛みに耐えた。
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