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確かに、アーゼンは今まで無理をしていた。
この病はアリアが幼少時から徐々に発覚してきたもので、明細は不明。
一時期他人に移る可能性が考えられたため、面接を遮断するほどだった。
だが、移らないのがほぼ確定したため、外に出たりはしているが、移らないことが断言できないため今に至る。
なんとか進行は一部の薬で抑えられる事が発覚し、押さえてきたものの、僅かだが年々悪化してきていた。
その上最近だと休暇がないほどに働きづめだったため、著しく体調がよくなかったのだ。
いつかはフェルゼンが継ぐと決めていただけに、それまで持てばいいと思っていたための働きづめだった。
――メイに無理やり飲まされた三分後。
徐々に、身体の痛みは引いていったが、まるで一時間、二時間このままだった様に感じている。
身体が酷く気だるい。
ただ、ふとアーゼンは思った。
(そういえば…毒だと、疑っていなかった…)
薬を自分で作っていて、なおかつその腕の良さを知っているためか、メイの異様な薬は、アーゼンは毒と疑う事を全くしなかった。
たった少しの期間だというのに、ここまで相手を信頼しきっていたかと心の中で苦笑する。
痛みが引いて、はぁ……と一息ついた途端、アーゼンは異様な吐き気を覚えた。
そこに、判っていたのか、小さめの一つのバケツが目の前に置かれ、躊躇うことなくアーゼンはそれを吐いた。
「ぅ……が…ぁっカハッ!」
――ゴトン
ゴト、コンゴトゴトッ
吐く、といっても、飲食したものが出るわけでなく、出たものは異物を紫色の堅い幕で覆った、大きくてピンポン球大の石のようなものが大小合わせて8つ出てきた。
吐いたことによってぜーぜーと息が荒くなったアーゼンは息を整えようと深呼吸を繰り返す。
――今まで感じていた、僅かな痛みを伴った呼吸ではなく、すっとした、楽な呼吸が出来ていることに驚きを感じながら、息を整える。
気づけば、息だけではなく、身体も随分楽になっていた。
薬を飲まされる前まで長年感じていた痛み、疲れ、倦怠感などが、今までのは何だったのか?と思うほど、綺麗になくなっていた。
――たった一つの、メイの薬によって。
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